
海外FXのECN口座って何?どんな特徴があるの?STP方式との違いを知りたい!
海外FXのECN口座は、透明性の高い取引環境と狭いスプレッドが魅力の口座タイプです。
ただし、取引手数料がかかり、レバレッジに制限があることが多いなど、上級者向けの特徴も持ち合わせています。
この記事では、ECN口座の仕組みとSTP方式の違い、メリット・対策、さらにECN口座を利用する際の注意点まで、初心者にもわかりやすい解説します。
- 海外FXのECN口座とはトレーダー同士が直接取引を行う口座。
- ECN方式とSTP方式の仕組みや特徴は、リクオートが起こるかスリッページが起こるのかの違いがある。
- ECN口座のメリットは、約定拒否がなく約定力が高い。節税も可能になる。
- ECN口座のデメリットは、ボーナスが受け取れずレバレッジが低い点。取引量が低いと約定もされにくい。



この記事のライター:りゅういち
海外FX歴10年で、水平線と移動平均線を用いたシンプルな手法でトレードをしています。取引所の良いところから悪いところまでお伝えし、皆さんのお役に立てれば嬉しいです!
海外FXのECN口座とは


海外FXでよく耳にする「ECN口座」とは、NDDという方式で取引される口座の一種です。
国内FXでは、トレーダーと金融機関の間に、ブローカーが介入することが一般的です。しかし、海外FXのECN口座では、トレーダーが電子通信ネットワーク(ECN)を通じて金融機関などと、ブローカーの介入なしに、取引できます。
また、同じNDD方式の中に、STP方式という取引方法もあります。ECN方式とSTP方式の違いは、次の章で詳しく解説しています。
ECN方式とSTP方式の仕組みや特徴


海外FXのECN方式とSTP方式は、NDD(No Dealing Desk)方式に属しており、業者がトレーダーの取引に介入しない透明性の高い取引が特徴です。
ECN方式とSTP方式の仕組みや特徴について違いを解説します。
ECN方式
ECN方式の仕組みと特徴について解説します。
ECN方式の仕組み


ECN方式の仕組みは以下のとおりです。
ECN方式では、あるトレーダーが買い注文を出すと、その注文はECNネットワーク上に公開されます。全ての市場参加者(銀行、他のトレーダーなど)がこの注文情報を確認でき、最も良い売り価格を提示した相手との取引がリアルタイムで成立します。
海外FXのECN口座では、ブローカーを介さずインターバンクと同じ条件でトレードが行えるため、高い約定力が特徴です。
また、透明性が非常に高い取引方法となり、業者による価格操作や不透明な取引が行われにくくなります。
取引にはスプレッドに加えて手数料が発生しますが、スプレッドは他の取引方法よりも狭く、コストは抑えられます。



ただし、全ての海外FX業者がECN口座を提供しているわけではない点は注意が必要です。
ECN方式の特徴
海外FXのECN方式は、スプレッドが非常に狭いのが特徴です。スプレッドが他の取引方式に比べて極めて狭く約定力が高いため、特にスキャルピングに向いています。
ただし、スプレッドが狭い代わりに、手数料が発生します。手数料込みで考えると、必ずしもECN口座の取引コストが低くなるわけではありません。
また、海外FXのECN方式では、他の投資家や金融機関との直接マッチングが行われるため、約定力が非常に高いです。特に、取引量が多い市場ではスムーズな約定が期待できます。また、注文が市場価格に直接リンクしているため、スリッページが少なくなります。
STP方式
STP方式の仕組みと特徴について解説します。
STP方式の仕組み


海外FXのSTP方式はECN方式と同様にNDD方式の1つです。仕組みは以下のとおりです。
STP方式では、トレーダーが注文を出し、FX業者がトレーダーからの注文を受け取ると、その注文が複数の流動性提供者(銀行や金融機関など)に送信されます。そして、その時点で最も有利な価格を提示している流動性提供者との間で、注文が自動的に約定されます。
ECN方式との違いは以下のとおりです。
- 【ECN方式】投資家同士で取引を行う
- 【STP方式】投資家の注文を業者が決済した後、カバー先の金融機関に注文を出す
STO方式は、トレーダーの注文が直接市場に流されるため、業者がスプレッドを操作したり、トレーダーに不利な価格を提示するリスクが低く、透明性が高い取引法式といえます。
しかし、STP方式の場合、投資家の注文を業者が決済した後、カバー先の金融機関に注文を出す間にタイムラグ発生します。その瞬間に値動きが変化すると正確に注文できず、場合によっては業者側が損をする可能性があるのです。
このような海外FX業者側の損失を防ぐため、リクオートが発生する場合があります。
FX業者がカバーする金融機関が増えれば増えるほど、リクオートは発生しにくくなります。
STP方式の特徴
海外FXのSTP方式は、ECN方式よりスプレッドが広めですが、手数料はありません。結果的にSTP方式の方が取引手数料が低くなる口座もあります。
また、STP方式には、Instant Execution(インスタントエクスキューション)方式とMarket Execution(マーケットエクスキューション)という注文方式があります。
STPの2つの注文方式 | 注文方法 | メリット | デメリット | 向いている取引手法 |
---|---|---|---|---|
Instant Execution (インスタント エクスキューション) | ❶トレーダーの注文を 業者が決済 ❷ほぼ同時にカバー先の 金融機関に注文を流す | 価格の予想がしやすい | リクオートが発生する | 少額取引 スキャルピング デイトレード |
Market Execution (マーケットエクスキューション) | ❶トレーダーの注文を カバー先の金融機関に発注 | 必ず約定する | スリッページが発生する | 高額取引 スイングトレード |
FXはInstant Execution(インスタントエクスキューション)を採用しているが業者が多いです。カバー先の金融機関を増やすことで、リクオートも防いでいます。



FXは投資初心者でも始めやすい金融商品です。少額取引とInstant Execution(インスタントエクスキューション)方式の相性は良いといえるでしょう。
ECN口座のメリット


ECN口座には、STP口座にはない様々なメリットが存在します。特にスキャルピングを行いたいトレーダーや大口取引を行いたいトレーダーに向いている口座です。
さらに詳しくECN口座のメリットについて以下の項目から解説します。
約定拒否がない
海外FXのECN方式の口座を利用する場合、約定拒否(リクオート)が起こることはありません。海外FXのECN方式は注文が電子取引所を通じて自動的にマッチングされる仕組みであり、ブローカーが注文の約定に関与しないためです。
ただし、流動性が低い市場や極端な価格変動が発生する場合、スリッページが生じることがあります。
しかし、ECN口座ではSTP口座と違い、リクオートによる約定拒否はない点が特徴です。
平常時の約定スピードが速い
海外FXのECN方式の口座では、トレーダーの注文が電子取引所で即座に金融機関の注文とマッチングされるため、約定スピードが非常に速いです。
インターバンクには多くの市場参加者が存在し、大量の売り注文・買い注文が届くため、約定スピードが速く、100万通貨以上の大口注文でもスムーズに約定できます。そのため、マーケットの変動が激しい場面でも即時の取引が可能です。
ただし、年末年始など市場参加者が少なく流動性が低下している場合には、約定が遅くなる可能性もあります。流動性が確保されていれば、取引が速やかに行われるため、取引のタイミングや市場状況に応じた戦略が重要です。
板情報の確認ができる
海外FXの一部のECN口座では、板情報を確認できる場合があります。
板情報を見ると、価格帯の買いと売りの注文の総量が分かります。市場の需要や供給のバランスを視覚的に確認でき、トレンドの強弱や価格の転換点を見極めれるようになります。
電子ネットワークに注文が集まるECN口座だからこそ、板情報が確認できます。
ただし、板情報は全ての投資家の売買状況が分かるわけではありません。利用している業者の買いと売りの状況しか分からないので注意が必要です。



複数の海外FX業者のECN口座の板情報を利用すれば、より市場の需要と供給のバランスが把握しやすくなります。
狭いスプレッドで取引できる
海外FXのECN口座では、スプレッドが非常に狭く設定されています。なぜなら、売り注文を出した人はできるだけ高く、買い注文を出した人はできるだけ安く売買したいためです。
その結果、それぞれの利害が一致するため、どちらにも有利な状態で約定され、低いスプレッドで取引できます。
特にスキャルピングやデイトレードといった短期取引では、スプレッドの狭さが直接的に利益に影響するため、ECN口座は理想的な選択肢です。
また、往復の取引手数料を含めても、ECN方式のスプレッドはSTP方式よりも狭いことが多いです。海外FXのECN方式では、価格にブローカーのマージンが加えられないため、純粋な市場のスプレッドで取引が可能です。
全てのECN口座がSTP口座より取引手数料が低いわけではありません。海外FX業者ごとの情報をよく調べたうえで、スキャルピングなどを行いましょう。
節税できる
海外FXのECN方式は、税金面でも大きなメリットがあります。ECN口座では、取引手数料が発生しますが、この手数料は経費として計上でき、確定申告の際に税金の控除対象となります。
一方、STP口座で発生するスプレッドは経費として認められないため、節税効果は期待できません。
特に取引量が多く手数料がかかるトレーダーがECN口座を利用すると、経費としての控除を活用でき、税負担を軽減することが可能です。
したがって、頻繁に大口取引を行うトレーダーには、ECN口座の利用が最適です。
ECN口座のデメリット


海外FXのECN口座はメリットも大きいですが、デメリットも大きいため上級者向けの口座です。
そのため、ECN口座のデメリットもよく理解し、メリットを活かせば有利な取引を行うことができるようになるでしょう。
海外FXのECN口座について以下の項目から解説します。
取引手数料がかかる
海外FXのECN口座では、スプレッドが非常に狭く、ドル円やユーロドルなど主要通貨ペアにおいて0.0~0.2pipsのスプレッドを提供する業者もあります。
しかし、スプレッドが狭すぎる場合、FX業者はスプレッドからの収益を得ることが難しくなります。
そのため、ECN口座ではブローカーの取り分として取引手数料が別途設定されていることが一般的です。
取引コストを考える際には、スプレッドに加えて往復の取引手数料も考慮する必要があります。以下は、主要な海外FX業者の取引手数料の例です。
海外FX業者 | 取引手数料(往復1ロットあたり) |
---|---|
XM | 10ドル (1500円相当) |
AXIORY | 6ドル (900円相当) |
Tradeview | 5ドル (750円相当) |
FBS | 6ドル (900円相当) |
LAND-FX | 6ドル (900円相当) |
Titan FX | 7ドル (1050円相当) |
たとえば、XM TradingのECN口座の取引手数料が1ロットあたり往復10ドル、ドル/円のスプレッドが0.2pipsだった場合、取引コストは合計で1.2pipsになります。



海外FXの取引コストを比較する際は、スプレッドだけでなく手数料も含めて計算することが重要です。
ボーナスを受け取れないことが多い
海外FX業者の中には、ECN口座を開設する場合、ボーナスの対象外となることがあります。
これは、ECN口座が他の口座よりも透明性が高く、純粋な市場取引が行われるため、ボーナスの提供が難しいという理由によるものです。
そのため、ECN口座で取引を始める前に、ボーナスが適用されるかどうかを確認する必要があります。



自己資金が十分でない場合は、標準口座でボーナスを利用し、資金を増やしてからECN口座に移行することも一つの方法です。
取引数が少ない時は約定されにくい
海外FXのECN口座では、取引の相手方が市場でマッチングされるため、取引量が少ない場合には相殺できる注文が見つからず、約定が遅くなるか、スリッページが発生することがあります。
- 市場暴落時
- 年末年始
- 重要な指標発表
- その他流動性が低下するタイミング
上記のような状況下では、取引が成立しにくくなるため、流動性が豊富なタイミングを狙って取引を行うことが重要です。
ECN口座を提供していないFX業者もある
すべての海外FX業者がECN口座を提供しているわけではありません。
特に一部の業者では、STP方式だけを採用しており、ECN方式の口座を用意していないこともあります。
レバレッジを制限する業者もある
海外FXのECN口座では、一部の業者でレバレッジの制限が設けられている場合があります。
理由としては、ECN方式がリスク管理を重視しているためで、取引の透明性を保ちながらリスクを抑えるための措置です。
以下は、代表的な海外FX業者のECN口座における最大レバレッジの比較表です。
FX業者 | 最大レバレッジ | 口座名 |
---|---|---|
Exness | 無制限 | ロースプレッド口座 ゼロ口座 |
BigBoss | 1,111倍 | プロスプレッド口座 |
Vantage Trading | 1,000倍 | RAW ECN口座 |
XM | 500倍 | Zero口座 |
AXIORY | 400倍 | ナノ口座 テラ口座 |
Titan FX | 500倍 | ZeroブレードECN口座 |
業者ごとに提供されるレバレッジは異なるため、自分のトレードスタイルやリスク許容度に合ったレバレッジを選ぶことが大切です。
特に高いレバレッジを希望する場合は、事前にその海外FX業者のレバレッジ設定を確認しましょう。
ECN口座を開設して利益を狙おう


海外FXのECN口座は、取引の透明性や高い約定力、狭いスプレッドが大きな利益となる一方で、手数料が発生したり、レバレッジ制限がかかることもあるため、上級者向けの口座といえます。
ただし、手数料は経費に計上できますし、板情報を確認できることも魅力的といえます。
ボーナスの利用ができなかったり、取引量が少ない際の約定リスクも存在するため、STP口座のメリットも考慮して自分の取引スタイルに合った選択肢を選び、最大限の利益を確保しましょう。
- 海外FXのECN口座とはトレーダー同士が直接取引を行う口座。
- ECN方式とSTP方式の仕組みや特徴は、リクオートが起こるかスリッページが起こるのかの違いがある。
- ECN口座のメリットは、約定拒否がなく約定力が高い。節税も可能になる。
- ECN口座のデメリットは、ボーナスが受け取れずレバレッジが低い点。取引量が低いと約定もされにくい。