海外FXで法人化したいけれど、意味ないって本当?どのタイミングで法人化したら良いんだろう、、、
海外FXでの取引を法人化することには、多くの注意点が存在しますが、状況によっては大きな節税効果を得られる手段です。
特に、年間利益が一定額を超える場合や、安定的な利益を出せるトレーダーにとっては、法人化が有利になることがあります。しかし、法人化にはコストや手間がかかるため、全ての人にとってメリットがあるわけではありません。
この記事では、海外FXの法人化のメリットやデメリットを分かりやすく解説し、どのような状況で海外FXを法人化を検討すべきかをお伝えします。
- 海外FXで法人化する理由は節税のため
- 海外FXで法人化するメリットは節税に使える経費の範囲が広がったり、10年の繰越控除、事情所得で損益通算ができるなど
- 海外FXで法人化するときの注意点は赤字でも税金を納める必要があったり、法人の維持費がかかる点
海外FX歴10年で、水平線と移動平均線を用いたシンプルな手法でトレードをしています。取引所の良いところから悪いところまでお伝えし、皆さんのお役に立てれば嬉しいです!
海外FXで法人化する理由
海外FXの事業を法人化する理由として多くあげられるのが節税です。
国内FXの税率は一律20%ですが、海外FXの場合収益に応じた累進課税が適用され、税率は15%~55%になります。
しかし、法人化すれば、税率を22.40%~36.80%まで抑えられるので、収益に応じて法人化したほうがお得になる場合があります。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 194万9,000円まで | 15% | 0円 |
195万円 から 329万9,000円まで | 20% | 97,500円 |
330万円 から 694万9,000円まで | 30% | 427,500円 |
695万円 から 899万9,000円まで | 33% | 636,000円 |
900万円 から 1,799万9,000円まで | 43% | 1,536,000円 |
1,800万円 から 3,999万9,000円まで | 50% | 2,796,000円 |
4,000万円 以上 | 55% | 4,796,000円 |
海外FXで法人化する目安に関しては、こちらで解説しているので参考にしてください。
海外FXで法人化するメリット
海外FXを法人することで、様々なメリットを得ることができます。海外FXを法人化するメリットは大きいので、安定した収益をあげられるようになったら法人化を考えましょう。
海外FXで法人化するメリットは以下の5点です。
経費にできるものが増える
海外FXで法人化した場合、個人事業主の場合よりも経費にできる範囲が広くなります。
個人事業主で経費できるものについては以下の通りです。
- 取引手数料
- VPS
- EAやインジケーターの購入
- インターネット料金
- 書籍や新聞代
- 家賃や光熱費
- 交際費
- 文房具代や印刷代
- 借金の利息
海外FXを法人化することで、上記の経費に加えて、経費の範囲も広くなります。
新しく経費にできるものも追加されるものは以下のとおりです。
- 【含み益と含み損】:個人事業主の場合と違い、法人化すると含み益が課税されます。一方で含み損は経費として計上が可能になります。
- 【事務所代】:海外FXを法人化することで、個人事業主の時よりも経費できる割合が増えます。
・【賃貸費用】:自宅にFXのトレード専用部屋があったり、事務所を契約している場合は経費計上が可能です。
・【固定資産税】:持ち家の場合、固定資産税も経費に計上可能です。
・【光熱費】:光熱費も経費に計上可能です。自宅と事務所が兼用している場合は、全額経費に計上はできません。 - 【保険料】:海外FXを法人化した場合、生命保険料や退職金なども経費に計上することができます。
- 【人件費】:海外FXを法人化することで、利益を役員報酬にすることができ、経費に計上が可能です。
経費の証拠として、領収書やレシートは保管しておきましょう。FXは青色申告が認めれないケースが大半です。
そのため、5年間の保管が必要になります。
海外FXで個人事業主になるメリットについて、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
税率が変わる
海外FXの法人化のメリットとして大きいのが、税率が変わることです。海外FXを個人事業主で行うと、税率が累進課税で15~55%にまで税率が上がります。
しかし、海外FXの法人化を行えば、税率は22.40%から36.80%までに抑えられるのでお得です。
海外FXの個人口座と法人口座の比較ついては以下の通りです。
口座の種類 | 個人口座 | 法人口座 |
---|---|---|
所得形態 | 雑所得 | 事業所得 |
税率 | 5~45%の所得税+10 の住民税 | 19~23.2%の法人税+地方法人税、法人住民税、法人事業税 |
最大税率 | 55% | およそ30~35% |
最大10年の損失の繰越控除が出来る
個人事業主の場合、海外FXは国内FXと違い繰越控除が行えません。しかし、海外FXを法人化すれば、最大10年の損失の繰越控除ができます。
そのため、海外FXを法人口座にすることによって、個人口座よりも税負担を軽くできる可能性があります。
以下の記事では、海外FXの繰越控除について詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
損益通算がしやすくなる
個人事業主の場合、海外FXは「雑所得」に区分され、給与所得や事業所得と損益を合算できません。
しかし、海外FXを法人化すれば、別の事業と損益通算できます。国内FXと海外FXの損益通算も可能です。
海外FXの損益合算に関する詳しい解説は「海外FXの損失は確定申告する?繰越控除や申告した方が良い場合について解説」の記事を参考にしてもらえると嬉しいです。
以下の記事では、海外FXの損益合算についてさらに詳しく解説しているので、興味のある人はあわせてご覧ください。
決算期が任意で決められる
海外FXの個人事業主の場合、課税期間は毎年1月1日から12月31日までと固定されていますが、海外FXを法人化した場合は事業年度(課税期間)を任意に決定することが可能です。
これにより、事業の繁忙期と事務処理の集中する時期をずらすことができ、業務の負担を効果的に軽減することが可能です。
ただし、一度決算期を決めると、各関係機関への届け出の提出が必要で、簡単には変更できないので注意が必要です。
海外FXで法人化するときの注意点
海外FXで法人化する場合、赤字でも税金が発生する、含み益にも課税されるなど、有利な点ばかりではない点に注意が必要です。
海外FXを法人化を検討する場合、メリットと同じくらいでデメリットも重要となります。
以下の項目からさらに詳しく海外FXで法人化するときの注意点について解説します。
法人を設立するための費用が必要
海外FXの法人を設立する際には、登録免許税や定款認証手数料といった費用が発生します。
株式会社と合同会社の設立に必要な費用は以下の通りです。
費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款用収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合は0円) | 4万円(電子定款の場合は0円) |
定款の認証手数料 | 3〜5万円 | なし |
定款の謄本手数料 | 約2,000円 | なし |
登録免許税 | 15万円 または 資本金×0.7%の高い方 | 6万円 または 資本金×0.7%の高い方 |
合計金額として、株式会社は約20万円以上、合同会社は約6万円以上が目安です。合同会社の場合は、定款の認証が不要であるため、手続きが簡易で費用も抑えられます。
海外FXの法人化を検討する際には、節税効果だけでなく、設立にかかる費用も事前に確認しておくことが重要です。
赤字でも納めなければならない税金がある
海外FXを法人化すると、赤字でも納めなければならない税金が発生します。
- 【赤字でも払わないといけない税金】
法人住民税(均等割) - 【赤字だと払わなくていい税金】
法人住民税(法人税割)/法人税 / 法人事業税
法人住民税の均等割は、赤字であっても払わなければなりません。均等割は、資本金等の額と従業員数に応じて課せられます。
「均等割」の税額は、資本金や従業員数に応じて下表のように区分されます。
資本金等の額 | 都道府県民税均等割 | 市町村民税均等割(従業員数50人超) | 市町村民税均等割(従業員数50人以下) |
---|---|---|---|
1千万円以下 | 2万円 | 12万円 | 5万円 |
1千万円超〜1億円以下 | 5万円 | 15万円 | 13万円 |
1億円超〜10億円以下 | 13万円 | 40万円 | 16万円 |
10億円超〜50億円以下 | 54万円 | 175万円 | 41万円 |
50億円超 | 80万円 | 300万円 | 41万円 |
標準税率に基づく一例です。自治体によっては超過税率が適用される場合があるため、金額はあくまで目安です。
上記の表を参考にすると、海外FXを法人化した場合は最低でも毎年7万円(都道府県民税均等割2万円+市町村民税均等割5万円)の費用が発生します。
海外FX法人化は税制面で有利になりますが、個人事業主と違い赤字でも税金を払う必要があることは注意しなければなりません。
社労士や税理士の顧問料が必要
海外FXを法人化すると税金などが複雑になるため、社労士や税理士に依頼する場合が多いです。
そのため、維持費として社労士や税理士の顧問料が必要になります。
海外FXを法人化すると、厚生年金や健康保険の加入も義務です。
手続きが複雑なため社労士を雇うことを検討する必要があります。
- 【税理士の相場】:月額1~5万円程度
- 【社労士の相場】:月額2万円~17万円程度
利益の出金は自由にできない
海外FXを法人化した場合、個人口座のように利益を好きなタイミングで出金することはできません。
もし、勝手に出金してしまうと横領とみなされる可能性があります。
海外FXを法人化した場合は、得た利益を「役員報酬」として受け取る必要があります。また、役員報酬の金額は簡単に変更はできません。法人の代表者であっても同様です。
プライベートなお金を会社から借りた場合は、金銭消費貸借契約を締結して利息を支払う必要があります。
含み益・含み損も税金の対象
海外FXの個人事業主である場合は、保有しているポジションに税金がかからなかったため、両建てすることで節税が可能でした。
しかし、海外FXを法人化した場合は、含み益・含み損も課税の対象となるので注意が必要です。
海外FXの両建てを用いた節税手法については「海外FXの両建てはばれない?メリットや注意点、禁止事項を詳しく解説 」の記事で解説しているので、節税したい人はぜひご覧ください。
法人の解散手続きが必要
海外FXの法人化を行った後、法人としての事業を終了したいという場合は、解散手続きをしなければなりません。
- 法務局での解散登記
- 税務署への解散届出
- 解散公告や債権者への通知
- 法務局での清算結了登記
- 税務署への清算届出
解散の告知期間は2か月以上と定められているため、最低でも海外FXの法人の解消は2か月はかかります。
海外FXで法人化する目安
海外FXで法人化する目安としては、年間の利益が900万を超えたら検討するのが妥当です。しかし、節税の知識があれば更に少ない利益でも、法人化をしたほうが有利になる事があります。
以下の項目から海外FXで法人化する目安をさらに詳しく解説します。
海外FXの年間の利益が900万円を超えたら
海外FXを法人化する目安ですが、海外FXの年間の利益が900万円を超えたら検討しましょう。
海外FXの収益が900万円を収益を超えた場合、個人事業主よりも法人化したほうが税金が抑えられます。
個人事業主 | 法人化 | ||
---|---|---|---|
年間利益 | 税率 | 年間利益 | 税率 |
695万円以上900万円以下 | 23% | 800万円以下 | 15% |
900万円以上1,800万円以下 | 33% | 800万円超え | 23.2% |
ただし、税率だけでは実際の税金は算出できません。経費・繰越控除・損益通算・法人維持費などを考慮し、総合的な判断をする必要があります。
目安としては、他の事業も行っていて、海外FXと損益通算したいというタイミングでも、海外FXの法人化を考えても良いでしょう。
安定した利益を出せるようになったら
海外FXを法人化すると、税率が一定になってしまうため、利益が安定していないと個人事業主の頃よりも損をしてしまう事があります。
理由としては、法人化をすると利益が出なかった場合でも住民税や法人の維持費も発生するからです。
そのため、法人化は、安定して利益が出せるようになってから検討すると良いでしょう。
重要なことは利益を稼ぐ事ではなく、安定化させることです。
サラリーマンでも海外FXで法人化できる
サラリーマンでも海外FXで法人化できます。ただし、副業禁止の会社に勤めている場合、総所得が増えることで住民税が増えてしまいばれてしまうので注意しましょう。
役員報酬を貰わなければ、総所得は増えないので税金面で会社にばれることはありません。
海外FXで法人化して節税しよう
本記事では海外FXの法人化する理由やメリット、注意点、法人化する目安について解説してきました。海外FXでの法人化は、特に利益が増えてくる段階で有効な節税手段となり得ます。
しかし、法人設立には初期費用や維持コストがかかり、注意すべき点も多いです。損益通算の拡大や経費の幅が広がる一方で、赤字でも固定の税金や顧問料が発生するなど、負担も増えます。
法人化を検討に関しては、年間の利益が900万円を超えるか、安定した利益が見込める場合に検討するのが一般的ですが、必ずしも全員に当てはまるわけではないため、自分の状況に合った判断が重要です。
海外FXの法人化について正しい知識を身に付け、賢く節税しましょう。
- 海外FXで法人化する理由は節税のため
- 海外FXで法人化するメリットは節税に使える経費の範囲が広がったり、10年の繰越控除、事情所得で損益通算ができるなど
- 海外FXで法人化するときの注意点は赤字でも税金を納める必要があったり、法人の維持費がかかる点