オンラインカジノで得られた賞金についても、税法上は「一時所得」という所得に当たります。ですから、年間50万円以上稼いだ場合は課税対象となり、所得税を納めなければなりません。
しかし、
本記事では、本業が会社員で副業としてオンラインカジノで儲けた方を例にあげて、オンラインカジノに関する税金の算出方法や、確定申告のしかたや必要書類などについて解説していきたいと思います。
オンラインカジノで得た利益は「一時所得」
オンラインカジノを含む、いわゆるギャンブルで得られた賞金は、税法上は「一時所得」とみなされますので、課税対象となります。では、そもそも「一時所得」とはいったい何なのか、見ていきたいと思います。
そもそも一時所得って何?
「一時所得」の定義は、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう」(所得税法第34条一項)とされています。
つまり、会社員の人が継続的に受け取る給料や、事業者が事業活動により得ている利益ではなく、突発的に得られた収入と考えるとよいでしょう。国税庁の資料では、以下の5種類に分類されていますので、イメージがわかるのではないでしょうか。
- 懸賞は福引による賞金・賞品(業務上受け取るものを除く)
- 競馬や競輪等の払戻金
- 生命保険の一時金(業務上受け取るものを除く)や、損害保険の満期返戻金等
- 法人から贈与された金品(業務上受け取るもの、継続的に受け取るものを除く)
- 遺失物を拾った際や、埋蔵金を発見した際に受け取る報労金等
一時所得の計算方法
ここでは、オンラインカジノにおける一時所得の計算方法について、詳しく見ていきたいと思います。計算方法は以下のとおりです。
- 「1月~12月の勝利金の合計額」- 「支出した金額」-「特別控除額(最高50万円)」 = 「一時所得の金額」
- 「一時所得の金額」 × 1/2= 「課税対象となる一時所得の金額(A)」
この式を見ていただければすぐにわかるように、1年間の利益が50万円以下であれば、一時所得の金額はゼロになりますので、税金はかかりません。
なお、「支出した金額」とは、利益が出たときの賭け金(ベット額)を言います。オンラインカジノの場合、利益が出なければ、賭け金を損失に含むことはできません。
また、一時所得がオンラインカジノによる勝利金だけでない場合は、その金額も合計して(A)を算出することとなります。
会社で年末調整をする会社員などは、この(A)が20万円以下であれば、確定申告をする必要がありません。逆算すると、一時所得がオンラインカジノの勝利金だけであり、その金額が90万円以下であれば、確定申告を行ってオンラインカジノの税金を払う必要が無いのです。
これ以上の勝利金を手にしている場合は、確定申告を行って税金を支払わなければなりません。オンラインカジノの運営会社によっては、支払調書を発行してくれるところもありますので、これを入手すれば、申告作業をスムーズに行うことができます。
ギャンブルで稼いだ分の記録は残るの?
競馬やパチンコなどギャンブルをよくやっている方は、ギャンブルで勝っても税金を払ったことが無いなあ、という感覚をお持ちではないでしょうか。
確かに、競馬やパチンコ、宝くじといった日本でメジャーなギャンブルで、税金を取られているという印象は無いと思います。その理由は、賞金の受け取り方にあります。
利益を受け取った記録の有無
競馬やパチンコといったギャンブルでも、本来は税金を払わなければいけません。課税対象となる一時金の計算方法は、さきほど見てきたとおりです。
ただ、競馬やパチンコは賞金を現金で受け取るため、銀行などの記録に残ることがなく、税務署が調査したり取り締まったりということが難しいため、お目こぼしをされているということなのです。
一方、宝くじの場合は、あらかじめ税金が天引きされているので、個人で申告する必要はないというわけです。
これに比べ、オンラインカジノの場合は、銀行振込や小切手などによる支払いですから、全てのお金の流れが記録として残ります実際にどこまで取り締まるかは別として、税務署で把握することが可能ですから、法律に従って納税するようにしましょう。
オンラインカジノで得た利益にかかる所得税の計算方法
ここで、オンラインカジノで儲けがあった場合、いくら税金が取られるのか、年収400万円のサラリーマンAさんを例にとって、課税金額と所得税の計算方法のポイントを詳しく見ていきたいと思います。
Aさんのオンラインカジノ収支表
取引日 | BET額(万円) | 収支(万円) |
---|---|---|
2月10日: | 20 | 100 |
4月20日: | 60 | 90 |
6月15日: | 70 | -70 |
8月30日: | 20 | 60 |
合計: | 170 | 180 |
一時所得の計算
まず、一時所得の金額を計算することが必要ですが、そのための計算式は以下のとおりです。
- 「1月~12月の勝利金の合計額」- 「支出した金額」-「特別控除額(最高50万円)」 = 「一時所得の金額」
- 「一時所得の金額」 × 1/2= 「課税対象となる一時所得の金額(A)」
ここで、「支出した金額」は、利益が出た場合の賭け金(ベット額)であることに注意しましょう。つまり、上の表の6月15日は70万円の損失を出していますので、この日の収支は一時所得の計算には含めないのです。
このことから、下の表のように支出した金額の合計は80万円、利益となった金額は80万円となります。
取引日 | BET額(万円) | 収支(万円) |
---|---|---|
2月10日: | 20 | 100 |
4月20日: | 60 | 90 |
6月15日: | 70 | -70 |
8月30日: | 20 | 60 |
合計 | 100 | 250 |
これらの項目に一時所得を求める計算式にあてはまると、
① 「1月~12月の利益の合計額:80万円」- 「支出した金額:100万円」-「特別控除額(最高50万円)」 = 「一時所得の金額:100万円」
となり、一時所得の金額は100万円となります。
次に、一時所得の課税対象となる金額を求める計算式にあてはめると、
②「一時所得の金額:100万円」 × 1/2= 「課税対象となる一時所得の金額(A):50万円」
となり、課税対象となる一時所得の金額は50万円となります。
他の所得(給与所得)と合算し所得税を計算する
オンラインカジノの利益にかかる税金は総合課税となりますので、②で計算された一時所得の課税対象額と、給料などの所得を合算する必要があります。
となり、総合所得の課税対象は450万円となりますので、下表の3行目にある「330万円超695万円以下」に該当し、以下の計算式によって、所得税額が求められます。
これで、Aさんの所得税の額が求まりました。
引用:国税庁No.2260 所得税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
オンラインカジノ税金はバレる!
オンラインカジノの税金について理解は深められたでしょうか。
今回の記事によって初めて、オンラインカジノをはじめ競馬やパチンコなどギャンブルの勝利金についても、税金を払わなければならないことを知った方もいらっしゃるかと思います。
ギャンブルのような遊びで得た収入であろうと、財布などを拾ったことによる謝礼金であろうと、給料などと同様に収入には違いなく、一定以上の金額の場合は税金を納めなければなりません。
昨今では、メルカリなどネットによる売買の手段が発達し、手軽に収入を得ることができるようになりました。その一方で、こうしたネットによる売買の場合、税金を納めなければいけないという意識すらなくなっているのではないでしょうか。
ネットでのやり取りの場合、かえってはっきりと履歴が残りますので、税務署でもお金の流れを把握することが可能です。気が付かないうちに脱税をしてしまっていて、後からペナルティがついて必要以上の金額を支払わなければならないこともありえます。
そうならないためにも、不安な場合は、税理士に相談することをおすすめします。